読ん読く

虚像の道化師 ガリレオ 7

幻惑す まどわす心聴る きこえる偽装う よそおう演技る えんじるこれは本書の各編につけられた題である。四編からなる今回のガリレオは、このように二字熟語に送り仮名を振った題が付されている。つまりは造語であり、当て字である。ガリレオシリーズは、...
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食堂かたつむり

本書は実際に読んだほうがいい。読んで、じっくりと味わったほうがいい。そして、食べることの意味をかみしめた方がいい。本書はそんな小説だ。インド人の彼氏にある日突然捨てられた倫子。ふるさとに帰り、私生児として産んでくれたものの、心が全く通わない...
地域コミュニティ

淡路島に地方創生の未来を見た

先日、4/23に淡路島に行って来ました。淡路島といえば兵庫県。私の故郷です。海峡を挟んだ明石は父の出身地であり、つい数年前まで祖父母が住んでいた地です。淡路島は国産み神話の息づく、花咲く島としても知られています。しかし、そんな身近にありなが...
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掌の小説

新感覚派。文学史では著者をさしてそのように呼ぶらしい。現代の我々からみると、著者を新感覚派と呼ぶことには抵抗を感じる。むしろ古き良き日本を代弁する作家という印象がある。ノーベル文学賞の受賞スピーチの題「美しい日本の私」を地で行くかのように。...
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官能の夢―ドン・リゴベルトの手帖

本書は著者の「継母礼賛」の続編にあたる。不覚にも私がそのことを知ったのは本編を読み終えてから。訳者によるあと書き解説で知ることになった。本編でも読者承前を踏まえたような書き方がしてあり、私はそれを著者一流の自在に読者を迷わせる迷宮的な手法と...
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夕暮れをすぎて

著者の本国アメリカでは、本書は「Just After Sunset」という短編集として出版された。日本ではそのうち前半部が本書となり、後半部は「夜がはじまるとき」として出版されている。どういった契約になっているのかは知らないが、著者の短編集...
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ひとり日和

本書はどこにでもいそうな平凡な女の子、知寿の日常を描いている。本書を読んでいても、筋に大きな流れや起伏は出てこない。筋だけを追うと、本書からは平板な物語という感想しか出てこないかも。でも、なんだかほっとする物語だ。人と上手く関係を持てない女...
物申す

プログレッシブ・ポップの偉大さ

今朝のプリンス死去の報にはやはり驚きました。このところ、デヴィッド・ボウイにはじまり、グレン・フライ、モーリス・ホワイト、キース・エマーソンと、70-80年代の洋楽好きにとっては残念なお知らせが続いています。人はいつかは死ぬ。という事がわか...
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ナミヤ雑貨店の奇蹟

帯に「一か八かの大勝負でした」との著者の言葉が記されている。大げさに思うかもしれないが、本書の難易度からすると、決して誇張した言葉ではない。難易度といっても、内容が読者にとって難しいわけではない。難しいのはむしろ書き方だ。筋を破綻させずに辻...
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地震に備える仕事と生活

熊本で大きな地震がありました。奇しくも兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)と同じマグニチュードだったそうですね。断層を震源とした都市直下型としても同じ構造のように思えます。当時、兵庫県南部地震で被災した者としては、今回の地震には思うところが多...