読ん読く

叫びと祈り

本書は毎年末に恒例のミステリーのランキングで上位に推された。連作の短編集である本作は、著者の処女作。初めての小説で上々の評価を得た著者の実力は確かだと思う。実際、本書はとても面白い。ミステリーの骨法をきちんと備えている。語りの中にときおり詩...
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パニック・裸の王様

本書も、開高健記念館に行った後、著者の作品を読み通そうと思って読んだ一冊だ。著者に芥川賞を授けた出世作でありながら、私はおそらく本書を読むのは初めてだと思う。どの作品も、人の営みとその巨大な徒労が書かれていてとても興味深い。「パニック」動物...
まとめ

2021年5月のまとめ(個人)

公私の「私」●家族とのふれあい§ 総括 すでに梅雨に入っています。春は過ぎ去り、夏を迎え撃つ準備の期間です。ジメジメする季節の合間にも、晴れ間が時折除き、それが私たちの気分を整えてくれます。一方でコロナに関するニュースが相変わらず世を騒がし...
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最軽量のマネジメント

「天津飯の謎」が献本していただいた本だとしたら、本書は店頭で著者から手渡しで受け取った本だ。本書を購入したのはCybozu Days 2019の会場。二日間にわたった祭典の最終日、閉場時間にぎりぎりのタイミングでサイボウズ商店(サイボウズ社...
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天津飯の謎

コロナが始まった頃、逼塞を余儀なくされた人々は、さまざまな試みでこの状況をやりすごそうとした。7日間ブックカバーチャレンジはその一つ。Facebook上で指名を受け、自分が選んだ七冊の本を紹介するとともに、次の方を指名するというものだ。私は...
アクアビット航海記

アクアビット航海記 vol.32〜航海記 その18

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ジーヴズの事件簿 大胆不敵の巻

二冊続けてジーヴズの事件簿を読む。そもそも、本文庫に収められたジーヴズものは、前作の才智縦横の巻と、本書からなっている。だが、訳者による本書のあとがきによれば、ジーヴズものの短編の数は、数え方によってまちまちだが34編から79編まであるそう...
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ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻

本書は妻がはまっていた。面白そうなので私も貸してもらった。実際、とても面白かった。私は無知なことに、本書の主人公ジーヴズや著者の存在を知らなかった。かつてイギリスの推理小説はいろいろと読んだが、その時もジーヴズのことは知らずにいた。私の知ら...
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わたしの名は赤 下

本書のすごさ。それは本書がイスラム文化に押し寄せる西洋文明の脅威、つまり、一つの文化の変動と新旧の世代が入れ替わる痛みを描きながら、それでいてエンターテインメントとしても一級であることだ。本書は冒頭で細密画師の殺害は誰によるか、という謎を提...
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わたしの名は赤 上

本書は、著者の名をノーベル文学賞受賞者にまで高めた一作だ。トルコにルーツを持つ著者の文化的なバックボーン。それはイスラム教であり、イスラム文化である。今でこそ、世界は長らく西洋のキリスト教が優位に立ってきた。だが、歴史を紐解くと、かつてはイ...