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俺の考え

著者が一番油の乗っていた時期のエッセイ集。自ら下品という飾らない口調で述べる意見の数々は、学問などそっちのけでとにかく現場で叩き上げた職人的な思いがこもっている。信頼と金銭を比較する論点がいくつか出てくるが、かならず信頼を優先させろという結...
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重力ピエロ

著者の小説の登場人物は、とかく魅力的に思える。世の中に迎合も白けもしない替わり、エピソードの隙間から色んな教訓を引っ張り出してくる。遺伝子を扱う本書では、生を司る相手だからか死生観について機転の効いた言動が次々飛び出してくるのが印象的。'1...
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関東大震災 消防・医療・ボランティアから検証する

吉村昭氏の名著やその他新書やムックの数々を読んできた私。春先には「東京・関東大震災前後」4-8188-0932-2 の論点のユニークさや細かさに勉強させられたのだが、こちらの本も参考になった。未曽有の大災害になった理由を、当時の技術力の未熟...
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名将の条件 日露戦争七人の陸将

海軍が善で陸軍が悪という第二次大戦に対しての二元的な考えからは脱したつもりの自分。ところが陸軍のことはまだ知識不足なのでまずは二〇三高地の争奪戦ぐらいしか印象の無い、日露戦争における陸軍の動きを追ってみようということで読んでみました。日清・...
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レディ・ジョーカー〈下〉

いろんな結末を想像していたつもりが、様々な意味で納得のいく終わりかた。罪を、偏に、紋切的に断罪される行為として描いていない。人が人として人の世に生きていく限り、裁きや過ちの裏表を繰り返しつつ或るのが罪。人間がこの世にあることの意味を、罪の意...
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レディ・ジョーカー〈中〉

以前、著者が推理作家としてみなされることに抵抗の意を表していたのを何かで読んだことがあるけれど、それもうなづけるような人間の存在の苦悩や社会的な関係性のねじれなどを実に細かくえぐりつつ書き込んでくれています。決して一面性では捉え切れない犯罪...
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レディ・ジョーカー〈上〉

ようやく読めたのですが、息を止めんばかりに濃密な描写ながら、さくさくと読めてしまいます。のっけから部落問題を題材に描くあたり、上巻からリアリティが迫ってきます。各人物の紹介を兼ねたエピソードが効果的で紹介のための紹介ではなく、きちんと本筋に...
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イタリア人の働き方

文中でも触れられている通り、私にもイタリアに対しては脆弱な経済基盤という印象があっただけに、最近の欧州経済危機でも危機リストに名前が挙がってこない理由の一端がわかった気がします。個人事業主が多いというイタリアの特質ゆえに、組織や国家統制的な...
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猪苗代マジック

久々に二階堂氏の著書を読みました。うーんヒロインのセリフに違和感をかなり感じてしまいました・・・ミステリ・マスターズに連なる一品としては小粒なトリックと動機が作者の意図に関わらず消化不良を起こしました。'11/9/5-'11/9/6
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関ヶ原島津退き口―敵中突破三〇〇里

夏の関ヶ原探訪の後追い読書その2。島津の有名な退却行は以前から興味を持っていて、今回も石田三成公がメインの旅だったが、義弘公の陣地あとにも足を伸ばしてみた。この本はその興味を満たすに十分な内容で、戦前からの国内政治やしがらみの複雑さや、何ゆ...