読ん読く

鴨川ホルモー

関西人として、京都には何度か行っているわけだけれど、大学の配置からこのような物語が紡ぎ出されようとは・・脱帽である。私は大学生活を描いた小説には弱く、読むたびにかつての自分を思い出してしまう訳だけど、この小説も大学生活を描いている割にはそう...
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シベリア抑留―未完の悲劇

会ったことはないけれど、妻の祖父はシベリア抑留の経験者だという。話によれば、おちゃめなところもありながら、内面は強い人だったとか。普通の人なら痛みに耐えられない症状にも関わらず、癌で亡くなる少し前まで仕事を続けていたという。その人となりは妻...
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私の中でも読み通すのに苦戦した本の一つとして思い出されるであろう本書。あまりこういう言い方はしたくないけれど、訳に問題があるように思えてならない。最初はこういう特異な文体を持つ著者なのかとも思ったが、どうにも読み進めにくい。設定や話の進め方...
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会社のルーツおもしろ物語―あの企業の創業期はこうだった!

今年最初の本は、日本で一時代を築いた企業の創業期をまとめた本書。夏に実家に帰った際に手に取ったまま東京に戻ってしまい、年末年始の帰省時に返そうと思って持ってきたので、実家にいる間に読了。手堅く企業の草創期がまとめられていて、産業史として興味...
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逆立ち日本論

物事をあるがままに見ようとしても、様々な錯視の実例を見る度に、自分の見ている物についての確信が揺らいでくる。それと同じく、自分の考えというものを確立しようと思う度に、考えの立脚点を強固な地に置いたつもりが、実はいびつだったと思い知らされるこ...
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となり町戦争

著者については知識がなく、この本も題名に惹かれ手に取った。筒井康隆氏の小編に「三丁目が戦争です」というのがあって、その世界観を想像したため。ところが本書は雰囲気や世界観はもう少しシリアスな感じを持っている。行政の一環として町単位での戦争事業...
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幻夜

後味が強烈に悪い。こんなことが許されるのだろうか、と思えるほど。そしてその思いを後から振り返るにつれ、まんまと著者の術中に嵌ったことを悟る。後味が悪ければ悪いほど作中人物への感情移入の度合いが強いことを意味し、おそらくはそれを狙って書いた著...
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リーシーの物語 下

上巻のレビューに書いたけれど、じっくり読むという目標が、もろくもくずれ、下巻は3日で読み終えてしまっている。これは退屈になって斜め読みになったのではなく、物語の面白さに追われてしまったため。上巻のレビューに書いたように、大枠の展開は今までの...
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リーシーの物語 上

著者の本も大分読んできているけれど、最近はちょっと展開がマンネリ化の方向にあるなぁ・・・と思うことが多い。正直言ってこの本も展開としては今までの名作たちと同じような部分もあるにはあるのだけれど、著者の凄いところはその描写のディテールにあり、...
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鷺と雪

著者の本はそれほど読みこなしておらず、円紫さんシリーズを少し読んだ程度。だが、日常の些細な謎をミステリに仕立てあげる手腕にはかねてから敬服しており、直木賞受賞作である本書も数ある著者の本の一つという程度の認識で手に取った。様々な日常の事件を...