読ん読く

テンペスト 上 若夏の巻

本書については、賛否両論あると思う。会話や地の文、登場人物の言動が戯画化されすぎているという短所についてはもっともかもしれない。主人公の行動についても、あれでばれないのはおかしい、とあまりに現実離れした内容への批判もあると思う。私はそれらの...
映画を観、思いを致す

のぼうの城

原作は既読で、某所に書いたレビューには以下のように書いた。>何よりも話の筋として肝心な成田長親の性格の多彩な点、陰影>を書くことに成功している。映像作品に対して小説がなしうる>意義を、目に見えない心のうちを描くことにあると定義するな>らば、...
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月と蟹

著者の作品を読むのは「向日葵の咲かない夏」に続けて2作目。妙に心をざわつかせる作風故、積極的に読みふけりたい作家ではないのだが、直木賞受賞作ということから、手にとってみた。妙に心をざわつかせると書いたのも、著者が少年時代の持つ一種の危うさを...
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4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する

昨年末から今年にかけ、サッカー観戦の集まりに参加する機会を何度も頂き、今年はサッカーじゃ!と燃えていた時期に読んだのが本書。この本を読んでから7か月が経つが、予想以上の残業の日々で観戦の機会がせいぜい2,3度しか取れず、本書から得た知見を活...
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影男

本がないと生きていけない私の読書人生で転機になったのは、間違いなく江戸川乱歩の著作と出会ってからであり、小学三年生のあの頃、ポプラ社の二十面相やルパン、ホームズ物をむさぼるように読んだ日々がどれだけ幸せだったか。ポプラ社の46巻シリーズ、前...
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硫黄島に死す

本書には7編の短編が収められており、そのうち5編が太平洋戦争中の激戦に題材を採っている。いずれも当時の国際情勢や政治に無関係の、前線で任務を全うするために挺身する人々の姿を様々な角度から描くことで、戦争の意味を問うている。太平洋戦争の戦記文...
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天地明察

先日記したマルドゥック・スクランブルでも統計や情報についての著者の博識ぶりに触れたのだが、本書を読んでさらに著者が科学に対して底知れぬ興味と喜びを抱いていることが感じられた。渋川春海という江戸時代に改暦を成し遂げた人物に焦点を当てた本書は、...
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競売ナンバー49の叫び

氾濫するシンボルとエピソードの数々。喧噪と反映の中で急速に繁栄への道を駆け上がってきたアメリカの縮図のような本書は、とにかくにぎやかである。謎が謎を呼び、何重にも入り組んだ物語迷宮の中で、下手をすれば筋を見失いそうになることもあるが、謎を追...
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邂逅の森

常々、人間たかが生物であり自然に対して思い上がることなかれ、との思いを肝に銘じているのだが、ITという仕事柄もさることながら、日々の忙しさにかまけた生活を続けていると、自然への畏敬の念を忘れがちになる。そんな時は本書を読むとよい。明治から昭...
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小暮写眞館

人生の各情景を切り取って、小説の形に世界を形作るのが小説家の使命だとすれば、仮想世界が徐々に幅を利かせつつある現状について、彼らはペンでどう対峙し、どの視点から情景を切り取っていくのだろうか。そんな疑問に対する一つの答えが本書である。小暮写...