映画を観、思いを致す

藁の楯 わらのたて

とにかく俳優陣の演技が素晴らしい。とくに主人公演ずる大沢たかおさんは、プロ意識と個人的な思いの狭間で葛藤する様が見事である。護送する側の5人のそれぞれに抱えた職務への責任と、内に隠した事情を隠してのせめぎ合いは、不自然さを少しも感じさせない...
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昭和天皇 下

下巻では、日華事変から太平洋戦争の開戦と敗戦、戦後の崩御までの過程が、上巻と同じ筆致であますところなく取り上げられる。昭和史に興味を持つものにとって、上海事変以降の敗戦までの過程は重要な時期である。本書ではその時期の主要な国事決定過程のほと...
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昭和天皇(上)

太平洋戦争が終わって28年後に生まれた私は、戦前の神聖視された天皇家も知らなければ、教科書の墨塗りに明け暮れた経験もない。自宅に御真影や写真集が常備されていることもなく、象徴としての君主として受け入れてきた世代である。特に思い入れがなかった...
映画を観、思いを致す

名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)

夜だったこともあってか、子供連れはほとんど見られず、我が家ぐらいのものである。だが、逆にそれは本作が大人の鑑賞にも耐えられるものであることを示している。本作ではイージス艦の機密をめぐるスパイ・サスペンスの作風で一貫しており、本格ミステリを期...
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悪の教典 下

上巻がジェットコースターの徐々に登り詰める緊迫感にあるとすれば、下巻はひたすらに下り堕ち、滑り逝く、激走である。前半の心理戦とは打って変わって、後半は肉弾戦であり、アクション映画ばりの銃撃戦が展開される。校舎内での大量殺戮の描写に費やす筆力...
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悪の教典 上

著者の作品はかなり読んできたつもりである。各著作に共通して思うのは、物語舞台の地理感覚を大事にしているということ。舞台がそこでなければならない、という必然は設定上あまりない。しかし、一旦ここと定めた舞台に対しては描写を惜しまない。そのため、...
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シューマンの指

あまりジャンル分けには意味はない、と頭では分かっている。分かっているのに、無意識にジャンル分けをしている自分。小説を読みながらそんなことを自覚するのもどうかと思う。おそらくは作家についても同じことがいえるだろう。ジャンル分けされたくない、と...
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私のマルクス

最近、言論者として売れっ子の著者であるが、その言説には臭みを感じず、私も違和感なく御説を拝見している。といっても私も読む言論雑誌などホンの一握り。最近は新聞さえろくに読んでいない状態だけに、御説に関してどうこういうつもりは毛頭ない。ただ、著...
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幕末史

著者の歴史観の支持者である。歴史に対して特定のイデオロギーに傾かずにバランスを取ろうと努力する姿勢は、私の目ざすところとも一致する。昭和史を主分野とする著者が、幕末を取り扱ったと聞き、本書を手に取った。昭和史は、その時代の結果が平成の御世に...
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爆裂薔薇十字探偵

キャラ立ち小説として、京極堂シリーズはもはや老舗の感があるが、その様々な登場人物の中でも極め付けが本書の主人公であることは論をまたないだろう。本書は廉価版コミックのような紙質と体裁を採っている。それを新刊として出すことに何らかの意味があるの...