kintone Café 和歌山 Vol.3に参加・登壇してきました

kintone
5/24にkintone Café 和歌山 Vol.3に参加しました。
告知ページ
 
今まで私は何度となくkintone Caféに参加してきました。
今回は、その中でも思い出に残るkintone Caféになったと思います。
今回のキーワードを敢えて挙げるなら「場所」「地図」「コミュニティー」「合気道」の四つでしょうか。
 
まず「場所」である田辺市です。
和歌山の南紀は、兵庫に住んでいた子供の頃、親に何度か連れてきてもらったことがあります。ただ、その旅の中で田辺市に来た覚えがありません。白浜や勝浦や串本や太地は連れてきてもらった記憶がありますが、田辺の記憶は残っていません。たぶん通り過ぎただけだったのでしょう。
 
そんな田辺を、今回の訪問をきっかけにじっくりと堪能できました。
特に味光路の粋な飲み屋街の景色は、私に深い印象を与えました。飲みに連れて行っていただいたお店の料理やお酒がおいしかったことといったら!
 
また、kintone Café 和歌山 Vol.3の会場であるtanabe en+は、私の泊まったDJANGO Hostel & Loungeの隣に建っていて、徒歩一分の立地です。今まで私はさまざまなコミュニティーに参加してきましたが、宿と会場の近さでは今回のDJANGO Hostel & Loungeとtanabe en+のペアが最強です。
 
DJANGO Hostel & Loungeを予約したのは4月29日。もう訪問まで1カ月を切った時期でした。
今回、運営と司会進行を担ってくださったキミコさんからkintone Café 和歌山のお誘いが来たのは2月1日でした。その後、登壇内容についてキミコさんからの督促があったのは4月中旬。私が登壇テーマをキミコさんにお伝えしたのは4月21日。
とにかくこの頃の私は忙しく、精神的にも疲れが溜まっていた時期でした。
そのため、DJANGO Hostel & Loungeを選んだのは、kintone Caféの会場の場所に近いからではなく、ただ宿を確保しなければとの思いだけでした。それがかえってよかったのかも。
 
次に、テーマである「地図」です。
4月21日に私がキミコさんに連絡した際、以前にある案件で実装したポリゴンデータをオープンデータとしてダウンロードし、それをkintoneに読み込み、地図と重ねてkintoneに表示させる登壇内容ではどうかとお伝えしました。
なぜそのテーマを選んだかというと、あらためて何かを考える余裕がなかったためです。
 
すると、ここからキミコさんの動きが素晴らしかった。
まずキミコさんは、Facebookでkintone Caféに申し込んだ方とコンタクトを取りました。その方は田辺市を退職されたばかりで、DXを推進されていた方。その方から、今の田辺市のDXを担うお二人に連絡が行き、とんとん拍子に登壇内容が固まっていったそうです。
そこで、kintone Caféのテーマが地図とkintoneの活用に定まりました。それによって、私と一緒に登壇する同じkintoneエバンジェリストの石際さんの登壇内容も地図を絡めたテーマという流れができあがりました。
 
当日です。まずはキミコさんから開催のご挨拶や説明など。
サイボウズのかんちゃんこと神田さんがサイボウズ社内のkintoneのコミュニケーションの活用を実際の使われ方を紹介しつつ、単なるデータ蓄積ツールではないkintoneの魅力について語っていただきました。 私も分報の運用が思い立った時しか行えておらず、あらためての刺激になりました。
続いて万谷さんからは、ライトコースだけでkintoneを運営する事例の発表を行っていただきました。実際に使っており、これからさらにkintoneを発展させようとされている万谷さんによる、私たちにとっても原点を思い出させる素晴らしい実例でした。 流石に写真は撮りませんでしたが。
そして続いては、田辺市のお二人のお話です。
田上さんがお話しされた、デジタルツインによる街の災害管理と状況の把握が簡単にできるようにした成果は素晴らしいものです。ドローンを活用し、マップと地形図が3Dデータで自在に統合され、災害時の状況把握も迅速になる仕組み。これは全国の自治体にあまねく広めたいと思いました。もう、感銘のあまり、鳥肌が立ってしまいました。
また、オープンデータをマップに統合し、実際の市民への情報提供として用いられている実例をお話しされた南さんのお話も見事でした。
市民サービスとは何かを考えると、まずは情報提供の迅速さだと思います。これは、プロボノや市民、民間企業ではやれるサービスの規模や持続性に限界があります。自治体こそが真っ先にこうした情報提供をやる必要があるのですが、それができていないのが現状です。私はイベントなどの実践も必要だと思いますが、それらはうまく利益につなげられれば民間でも可能です。ただ、自治体にしかできないのがこうしたデータを用いた情報提供です。
お二人の話から、自治体DXのあるべき姿が見えたように思いました。これこそが自治体DXの勘所ではないでしょうか。
実はオープンデータや地図というテーマから、私の登壇内容と皆さんの内容が被らないとよいな、という危惧を持っていました。
私が話す登壇内容のオープンデータとは圃場のポリゴンデータです。ところが、南さんが取り上げたオープンデータの種類は多々ありましたが、田辺市の取り扱うオープンデータには圃場だけが抜けていました。事前に打ち合わせていないにもかかわらず、まさに妙を得た組み合わせだと感じました。
田辺市のお二人が地図データの重要性と有用性をこれでもかとお伝えしてくださった後、私が登壇し、実際にkintoneに地図データを組み合わせる流れに繋げられたのは、まさに奇縁としか言いようのない偶然のなせる業。kintoneの地図活用の事例としてお伝えできたことは、我ながら最高でした。
 
私の登壇内容はオープンデータで提供されているポリゴンデータをkintone上にマッピングさせ、扱うというものです。
さらに、私の後を引き取ってくださった石際さんは、田辺の偉人、南方熊楠翁が主な研究題材として取り組んでおられた粘菌をテーマにされていました。
粘菌とは植物とも菌とも動物とも言い難い存在で、動物の脳に相当する器官を持たないにもかかわらず、ある地点からある地点までの最短距離を算出する能力を持ち、迷路上の入り口と出口を最短距離で結ぶことができることでも知られています。
そんな粘菌が最短距離を算出するアルゴリズムは、ある程度分かってきているといいます。石際さんが飛びぬけているのは、そのアルゴリズムをkintone上で桝の動きとして実現したことです。
しかも、そこに実際の地図をプロットすることで、地図とその場所を連動させる実例を見せてくれました。こんなハックを南方熊楠翁のおひざ元で炸裂させてくれる石際さんはかっこよすぎです。まさにここで話さねばいつ話すねん、というスゴ技を話してくださいました。
こうして、4人がバトンをつないで地図という一つのテーマで話し切ることができました。テーマが次々とつながる様子は鳥肌が立つような素晴らしさで、キミコさんのアシストとコーディネートの素晴らしさが光ったと思います。
私が思いついた地図というテーマから、ここまでの伝承ができたこと。それは、登壇者冥利に尽きます。登壇者間で特に示し合わせずに一つのテーマに結実したことが、私にとって今回のkintone Caféが長らく印象に残る理由です。
続いて登壇したはっしーさんは「kintoneすごろく」という沖縄で生まれた新たなムーブメントを持ち込んでいただきました。
「kintoneすごろく」とは、kintoneアプリを用いて発題と回答を管理し、遊ぶと同時にkintoneの知識を学べるコンテンツです。
こうしたコミュニティー同士の連鎖もkintone Caféの魅力です。
今回のkintone Café 和歌山は「コミュニティー」の言葉の意味を改めて考える機会になりました。
kintoneエコシステムという言葉があります。kintone界隈に集う人々のビジネスやコミュニティーを一つの生態系として捉えた言葉です。
エコシステムとは、つまりエコロジーシステムです。エコロジーという言葉を早い時期にわが国に紹介したのは田辺の偉人である南方熊楠翁です。
kintone Café 和歌山の当日の朝に南方熊楠顕彰館を訪れた私は、熊楠翁の業績に深く感銘を受けるとともに、エコロジーについても学びました。その翌日にも4名で白浜町の南方熊楠記念館を訪れ、さらに学びを深めました。
エコロジーとは、これからの私たちが生きる上でついて回るはずです。どうすれば成長一辺倒の考えから脱し、窮屈に同じ向きを向いて暮らすのではなく、それぞれの多様性や欲望をかなえつつ、成長にとらわれない暮らし方ができるのか。ビジネスでお金を儲けるだけではなく、そのビジネスを包括した環境全てがきちんと持続的に続いていく仕組み。それを考えるべき時期にきています。
コミュニティーとは、まさにそうあるべきだと思っています。ある人だけが有利になるのではなく、皆が幸せになれる仕組み。
その提唱者である南方熊楠翁の眠る田辺で、kintone Café 和歌山が開かれ、新たなつながりが生まれたのは、本当に素晴らしいことだと思います。
また、最後のキーワードとして「合気道」を挙げたいと思います。
今回のkintone Café 和歌山をきっかけにこれからの生き方や働き方についてもっとも示唆を与えたのは、あるいは合気道かもしれません。
今まで私はあまり合気道に関心を持っていませんでした。意識もせずに生きてきました。
ですが、今回の田辺訪問によって、合気道が禅や老荘思想と相性がよいことを学びました。田辺の地で生まれた植芝盛平翁を顕彰する植芝盛平記念館では「一、他人と優劣を競わないため、勝敗を決めない武道であること。」という精神が掲げられていました。
この、敵を作らない合気道の姿勢がkintoneコミュニティーに合っているのではないでしょうか。気負って気張って生きるのではなく、自然体で生きていくことはできないものでしょうか。決して怠けるのではなく、誰もが自分の好きなことに集中できる世界。それでいて既存のやり方の墨守に依存せず、各自が得意な部分で活躍できる世界。
そこには、誰かが誰かを従えるとか、誰かが勝って誰かが負ける優劣の競争がありません。
そうした考えを取り入れた武術こそが合気道です。そして今や、合気道は日本や世界で息づいています。
合気道と禅。合気道と老荘思想。その組み合わせをもってkintone開発やkintoneビジネスの世界を生き抜くことができれば、画期的だと思いませんか?
そうした思いが今回のkintone Café 和歌山の街で得られたのは望外の喜びでした。
夜の飲み会も楽しく、味光路の風情を楽しみつつ、皆さんと交流を深めることができました。田辺市や和歌山県の皆さんとの時間は貴重でしたし、私にとってkintoneエコシステムの中で何をなすべきかが見えたように思います。二次会も田辺の皆さんの人となりが伺えるようなお店で、とても印象に残りました。
翌日も4名で田辺や白浜の街を巡りました。それによってさらに町への理解度が深まったように思います。
街の課題と田辺市のデジタルツインの構想。
オンラインだけでは決して見えない街の課題やデジタル活用の肝となる化学反応。
それらを統合するエコロジーの考えや優劣をつけないという考えとの相性。その中でkintoneは何をもって貢献できるのか
いろいろな意味で意義深いkintone Caféとなりました。
ご参加いただいた皆さん、ご登壇いただいた皆さん、ご縁のあったすべての方に感謝いたします。

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