読ん読く

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黒田官兵衛・長政の野望 もう一つの関ヶ原

昨年の大河ドラマは軍師官兵衛であった。私も放映開始直前の秋、姫路城を訪問し、大修理中の天守閣を見学できる「天空の白鷺」から間近で天守を眺めることができた。街中に官兵衛の幟がはためき、姫路の街は官兵衛景気に沸いていた。しかし、昨年一年間、とう...
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ネジ式ザゼツキー

著者の幾多の名作の中に眩暈という作品がある。記憶を無くした男の語る異世界に迷い込んだかのようなエピソード。彼はいつどこで何をしでかし、何故に記憶を喪ったのか。一見無節操に見えるそれらのエピソードから、地球上のとある場所で起こった事件を御手洗...
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三匹のおっさん

難しい本を読んだ後は、軽めの読書を。バランスを取る上で重要なこと。有坂さんの著作は純粋に読書を楽しむには打ってつけの本である。本書のように分かりやすい勧善懲悪がテーマだとなおさら。人生の後半戦に差し掛かった初老の3人のおっさんが、街の平和を...
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考えるヒント3

時代の転換点。むやみに使う言葉ではない。しかし、今の日本を取り巻く状況をみていると、そのような言葉を使いたくなる気持ちもわかる。中でもよく目にするのが、今の日本と昭和前期の日本を比較する論調である。戦争へと突き進んでいった昭和前期の世相、そ...
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あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書

夏の風物詩。人によってそれぞれである。ある人は花火に夏の開放感を味わい、ある方は甲子園のアルプススタンドに熱気を感ずる。四季折々の風物に事欠かない日本。中でも夏は格別の趣を人々の元へ運ぶ。その色合いは総じて開放的かつ前向きである。そんな色合...
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1922

著者の真骨頂は長編にあり。そう思う向きも多いだろう。しかし、実は中短編にも優れた作品が多数ある。むしろ饒舌なまでに読者の恐怖を煽りたてる長編よりも、シンプルで勘所を得た中編こそ、著者のストーリーテリングの素晴らしさが味わえるといってよい。本...
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おくのほそ道

旅。大人にとって魅惑的な響きである。旅を愛する私には尚のこと響く。名勝に感嘆し、名物に舌を肥やし、異文化に身を置く。私にとって旅とは、心を養い、精神を癒す大切な営みである。しかし、この夏休みは、残念なことに旅に出られそうになかった。参画する...
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現代について

タカ派路線が幅を利かせる今の日本。だが、一昔前までは、ハト派路線が全盛であった。その反動が、今のタカ派隆盛に繋がっているともいえる。保守論客として知られる著者は、ハト派全盛の頃から保守論客として気を吐いていた方である。私は保守というのは、防...
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ルームメイト

友人に借りた本書。本屋や図書館でも著者の名が目に留まることがなかった。友人に借りなければ或いは読むこともなかったかもしれない本書。しかし、しかし。である。これが面白かった。本書で凝らされている趣向は、一言でいえば多重人格ものである。ありがち...
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落第坊主の履歴書

阪神間で生まれ育ち、町田で生活を営む私。同じような軌跡を辿った白洲次郎、遠藤周作の二氏に常々親近感を抱いていることは、何度かこの場でも書いた。特に後者は、その飄々とした生き様と、真摯に信教について追及する瞬発力との落差に惹かれる。目標とすべ...