読ん読く

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鉄の骨

一世を風靡した半沢直樹による台詞「倍返しだ!」。文字通り倍返しに比例するように著者の名前は知られるようになった。著者の本が書店で平積みになっている光景は今や珍しいものではない。自他ともに認める流行作家といえよう。とはいえ、私の意見では著者は...
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精神論抜きの電力入門

貧しい資源の上に危うく乗っかった日本の繁栄。福島第一原発の事故によって、改めて我々にはその事実が突き付けられた。資源に乏しい我が国が、今の繁栄をどのように維持するのか。多くの人々が忘れ去ってしまったこの問いは、実は全く解決されていない。問題...
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製鉄天使

著者の作品の中で「赤朽葉家の伝説」という小説がある。著者の代表作の一つとして知られている。私は著者に直木賞をもたらした「私の男」よりも「赤朽葉家の伝説」のほうが好きだ。鳥取の製鉄家一家の歴史を大河風に描き切った「赤朽葉家の伝説」は、魔術的リ...
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新訂 妖怪談義

日本民俗学の巨人として、著者の名はあまりにも名高い。私もかつて数冊ほど著書を読み、理屈に収まらぬほどの広大な奥深さを垣間見せてくれる世界観に惹かれたものである。本書は著者の多岐に亘る仕事の中でも、妖怪に視点を当てたものとなる。妖怪といえば、...
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虚像の道化師 ガリレオ 7

幻惑す まどわす心聴る きこえる偽装う よそおう演技る えんじるこれは本書の各編につけられた題である。四編からなる今回のガリレオは、このように二字熟語に送り仮名を振った題が付されている。つまりは造語であり、当て字である。ガリレオシリーズは、...
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食堂かたつむり

本書は実際に読んだほうがいい。読んで、じっくりと味わったほうがいい。そして、食べることの意味をかみしめた方がいい。本書はそんな小説だ。インド人の彼氏にある日突然捨てられた倫子。ふるさとに帰り、私生児として産んでくれたものの、心が全く通わない...
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掌の小説

新感覚派。文学史では著者をさしてそのように呼ぶらしい。現代の我々からみると、著者を新感覚派と呼ぶことには抵抗を感じる。むしろ古き良き日本を代弁する作家という印象がある。ノーベル文学賞の受賞スピーチの題「美しい日本の私」を地で行くかのように。...
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官能の夢―ドン・リゴベルトの手帖

本書は著者の「継母礼賛」の続編にあたる。不覚にも私がそのことを知ったのは本編を読み終えてから。訳者によるあと書き解説で知ることになった。本編でも読者承前を踏まえたような書き方がしてあり、私はそれを著者一流の自在に読者を迷わせる迷宮的な手法と...
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夕暮れをすぎて

著者の本国アメリカでは、本書は「Just After Sunset」という短編集として出版された。日本ではそのうち前半部が本書となり、後半部は「夜がはじまるとき」として出版されている。どういった契約になっているのかは知らないが、著者の短編集...
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ひとり日和

本書はどこにでもいそうな平凡な女の子、知寿の日常を描いている。本書を読んでいても、筋に大きな流れや起伏は出てこない。筋だけを追うと、本書からは平板な物語という感想しか出てこないかも。でも、なんだかほっとする物語だ。人と上手く関係を持てない女...