読ん読く

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魔術的リアリズム―二〇世紀のラテンアメリカ小説

「魔術的リアリズム」。当読読ブログでも何度かこの言葉を取り上げている。「魔術的リアリズム」とは、ラテンアメリカの作家たちによって知られる文学潮流の一つである。現実をベースにした描写に超現実的なエピソードを織り込むことで物語に深みを持たせる。...
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最後のウィネベーゴ

饒舌の中に現れる確かな意思。著者が物語をコントロールする腕は本物だ。以前読んだ『犬は勘定に入れません』でも著者の筆達者な点に強い印象を受けた。本書を読んで思ったのは、著者が得意とするのは物語のコントロールに秀でたストーリーテラーだけではなか...
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お目出たき人

著者の没年を見ると、私が三歳の年に亡くなったようだ。つまり私が幼い頃はまだ存命だったことになる。だが、著者の作品をまとまった書籍として読んだ記憶がない。教科書で読んだかどうかもあやふやだ。私の中ではあまり関わりのなかった著者だが、なぜか私に...
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柳田國男全集〈2〉

本書は読むのに時間が掛かった。仕事が忙しかった事もあるが、理由はそれだけではない。ブログを書いていたからだ。それも本書に無関係ではないブログを。本書を読んでいる間に、私は著者に関する二つのブログをアップした。一つ目は著者の作品を読んでの(レ...
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土門拳の写真入門―入魂のシャッター二十二条

「もっと早く本書を読んでおけば」本書を一読しての私の感想だ。新刊本で購入した本書。あろうことか、一年以上も積ん読状態にしていた。怪しからぬ扱いを本書にしていたと反省している。そもそもなぜ本書を購入したか。それは自分の撮った写真の質に飽きたら...
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デジタルは人間を奪うのか

IT業界に身をおいている私だが、今の技術の進展速度は空恐ろしくなる。ハードSFが書くような未来は、今や絵空事でなくなりつつある。自我や肉体がITで補完される時代の到来だ。自我のミラーリングに加えて自我の世代管理が可能な時代。自我と肉体の整合...
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隻眼の少女

著者の本を読むのは随分久しぶりだ。かつて著者のデビュー作である「翼ある闇」を読んで衝撃を受けた。読んですぐ弟に凄いから読んでみ、と薦めたことを思い出す。それなのになぜかその後、著者の作品からは遠ざかってしまっていた。「翼ある闇」のあまりに衝...
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マッサンとリタ ジャパニーズ・ウイスキーの誕生

北海道の余市蒸留所にいくことがあれば、リタハウスにはぜひ訪れていただきたい。実際に竹鶴リタさんが使っていた居室が移築されている。そのたたずまいは来訪者に不思議な落ち着きを与える。こうして文をつづっている今も、そこで飲んだアールグレイティーの...
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竹鶴政孝とウイスキー

ジャパニーズウイスキーが国際的に評価されている。最近はジャパニーズウイスキーの銘柄が国際的なウイスキーの賞を受賞することも珍しくなくなってきた。素晴らしい事である。ウイスキー造りには勤勉さと丁寧さ、加えて繊細さが求められる。風土、環境以外に...
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ひめゆりの塔