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嫌われ松子の一生(上)

本書もレビューを書くのに手間取った一冊だ。本書では、転落し続ける一女性の一生が容赦なく描かれる。これが自業自得の結果だったり、身から出た錆であればまだいい。そうとばかりは言えないから厄介だ。そして重い。その重さを受け止めかねているうちにレビ...
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望郷

NHK朝の連続ドラマ「マッサン」は、私のようなウイスキー愛好家に大きな影響を与えた。ウイスキーがブームとなり、酒屋の店頭からウイスキーが売り切れていった。原酒は不足し、製品のラインアップは変わった。それを差し置いても、ウイスキーが人々の身近...
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解錠師

本書はMWA(アメリカ探偵作家クラブ)のエドガー賞(最優秀長編賞)とCWA(英国推理作家協会)のイアン・フレミング・スティール・ダガー賞を受賞している。受賞作品という冠は、本書の場合、本物だ。だてに受賞したわけではない。登場人物の造形、事件...
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犯罪小説家

本書はタイトルの通り、小説家が主人公だ。小説家、待居涼司は「凍て鶴」によって作家として日の目を浴びたばかり。「凍て鶴」は評価され、映画化の話も持ちこまれる。受賞作家のもとには、さまざまな人物があいさつに訪れるが、映画化で監督・脚本・主演に名...
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そして、メディアは日本を戦争に導いた

私が近代史家として信頼し、その見解に全面的に賛同する方が幾人かいる。本書の著者である半藤氏と保坂氏はその中の二人だ。本書はそのお二人の対談をまとめたものだ。内容は題名の通り。第二次世界大戦での敗戦に至る日本の破滅に当時のマスコミが果たした役...
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禁断の魔術

著者の作風に変化を感じたのは「夢幻花」だったと思う。その変化についてはレビューにも書いた。私が感じた変化をまとめると、謎や解決のプロセスを本筋できちっと書き込み、なおかつ、それとは並行する別の筋に作者の想いや主張を込める離れ業を見せるように...
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天上の青 下

上巻を通して宇野富士男の性格は充分すぎるほど読者に披露された。一見すると穏やかそうに見えて話も達者。だが、一度、自分に都合の悪いことが起こると気の短さが爆発し、見境のない行動に走る。そういう性格の持ち主は、権威にも激しい敵意を示す傾向にある...
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天上の青 上

映画『羊たちの沈黙』で一躍有名になったのが、プロファイリングという言葉だ。犯罪現場を詳細に分析することで犯行の手口や犯人像を類推し、捜査にいかす手法。シャーロック・ホームズの捜査手法を現代風に置き換えたと言えば乱暴か。残虐な連続殺人犯をシリ...
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戦士の遺書-太平洋戦争に散った勇者たちの叫び

太平洋戦争を戦った軍人。その数は尉官以上の階級に限っても相当の数になるはずだ。軍人もまた人である。人である以上、それぞれに違う人格と人生がある。しかし敗戦は将官も尉官も関係なく、軍人を十把一絡げにして責任を負わせた。もちろん負けた以上は軍人...
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ルーズヴェルト・ゲーム

アメリカのルーズベルト大統領は、 野球の試合で一番面白いスコアは8対7だ、という言葉を残したという。本書のタイトルの由来はそこから来ている。私は本書を読むまでこの挿話を知らなかった。本書で著者が取り上げたのは社会人野球だ。青島製作所という中...