読ん読く

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UNDER THE DOOM 上

あとがきで知ったのだが、本書は、著者の作品のなかで三番目に長いそうだ。著者のライフワークともいうべきダーク・タワーシリーズは別格として、『ザ・スタンド』、そして『IT』、続いて本書の順なのだとか。小説はただ長ければいいというものじゃない。長...
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広島 昭和二十年

2016年も師走に入った。師走とは一年を総括する時期だ。今年一年、日本国内ではさまざまなニュースが報じられた。人によって印象に残ったニュースはそれぞれだろう。私がもっとも印象を受けたのは、オバマ大統領が広島の原爆記念碑に訪れ、献花したニュー...
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黄昏のベルリン

著者の作風には、二つの要素が欠かせないと思う。それは、叙情の香りと堅牢な論理が同居していることだ。叙情を表現する上で、著者の流麗な文体は似つかわしい。著者の作品には日本を舞台とする物語がある。それらを紡ぎ出すうえでも流麗な文体は長所となって...
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帝国ホテルの不思議

2016年。帝国ホテルとのささやかな御縁があった一年だ。それまで、私と帝国ホテルとの関わりは極めて薄かった。せいぜいが宝塚スターを出待ちする妻を待つ間、エントランスで寒気をよけさせてもらう程度。目の前はしょっちゅう通るが入る用事もきっかけも...
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大久保利通の肖像 その生と死をめぐって

私が本書を読んだ頃、我が家には薩摩弁が飛び交っていた。いや、飛び交っていたというのは正確ではない。話されていた、というのが正しい。誰によって話されていたかというと、うちの妻によって。2016/11/20を千秋楽として、宝塚星組北翔海莉さんと...
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槍ヶ岳開山

日本の仏教をこう言って揶揄することがある。「葬式仏教」と。平安から鎌倉に至るまで、日本の宗教界をリードしてきたのは紛れもなく仏教であった。しかし、戦国の世からこのかた、仏教は利益を誘導するだけの武装集団に堕してしまった。その反動からか、江戸...
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二重被曝

本書は、一つ前に読んだ「原子雲の下に生きて」と同じく長崎原爆資料館で買った一冊だ。「原子雲の下に生きて」を購入した理由はレビューに書いた。そして本書をえらんだのにも訳がある。明確な殺意のもと落とされた二発の原爆。ピカドンが引き起こした惨劇を...
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原子雲の下に生きて

本書は、長崎原爆資料館で購入した。長崎に訪れるのは三度目だが、原爆資料館は初めての訪問。前の二回は時間がなかったり、改装工事で長期休館中だったりとご縁がなく、三度目にしてようやく訪問することができた。だが、ようやく実現したこの度の訪問も私に...
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オン・ザ・ロード

「おい、おまえの道はなんだい? 聖人の道か、狂人の道か、虹の道か、グッピーの道か、どんな道でもあるぞ。どんなことをしていようがだれにでもどこへでも行ける道はある。さあ、どこでどうする?」(401P)「こういうスナップ写真をぼくらの子どもたち...
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ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」

本書は私にとって16年ぶりとなる長崎への旅の途上で読んだ。羽田から長崎への機内と、博多から長崎への電車内で。本書はまさに旅のガイドとなった。その意味でも印象深い。そして、本書を読んだ翌日、本書に書かれた内容を自らの足でめぐることができた。そ...