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消えた少年たち〈上〉

本書は早川SF文庫に収められている。そして著者はSF作家として、特に「エンダーのゲーム」の著者として名が知られている。ここまで条件が整えば本書をSF小説と思いたくもなる。だが、そうではない。そもそもSFとは何か。一言でいえば「未知」こそがS...
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横浜駅SF

鉄道ファンを称して「鉄ちゃん」という。その中にはさらに細分化されたカテゴリーがあり、乗り鉄、撮り鉄、線路鉄、音鉄などのさまざまなジャンルに分かれるらしい。私の場合、駅が好きなので駅鉄と名乗ることにしている。なぜなら私はさまざまな地域を旅し、...
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出版社と書店はいかにして消えていくか

本書は、紙の本が好きな人にとって「諦めの書」となるだろう。諦めといっても紙の本それ自体を諦めるのではなく、書店で本を買う文化への決別の書だ。本書のタイトルがすでに出版社と書店の衰退を決定事項にしている。そして、本書は出版社と取次と書店が形成...
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SFを実現する 3Dプリンタの想像力

今、世を騒がせている情報技術に関する言葉たちをあげてみる。クラウド、ビッグデータ、暗号(仮想)通貨、ブロックチェーン、人工知能、シンギュラリティ、ナノロボット、IoT。このほとんどは、実は目には見えない仕組みで動いている。目に見えない仕組み...
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神様のパズル

人生で最後のモラトリアム。扶養される立場を享受する日々。もはや取り戻せない貴重な時間。懐かしく愛おしい。本書を読んでそんな自分の大学四回生の日々を思い出した。私の四回生の日々は、今思うと躁状態すれすれな日々だった。一月の阪神・淡路大震災の影...
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図説滝と人間の歴史

滝が好きだ。みていて飽きない稀有なもの。それが滝だ。旅先で名瀑を訪れると時間のたつのを忘れてつい見入ってしまう。滝ばかりは写真や動画、本を見ただけではどうにもならない。滝の前に立つと、ディスプレイ越しに見る滝との次元の違いを感じる。見て聞い...
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プレミアムテキーラ

私の家にはちょっとしたミニバーを設えている。並んでいるボトルはほとんどがウイスキーだ。だが、ウイスキー以外にもリキュール、ラム、ジン、焼酎(米・芋・麦・黒糖)、ウォッカ、ブランデー、アクアビット、ピンガ、アラックなどをそろえている。かつては...
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少年は残酷な弓を射る 下

幼稚園でも問題行動を起こすケヴィン。シーリアという妹ができれば兄として自覚を持ち落ち着いてくれるのでは。そんな両親の願いを軽々と裏切り、ケヴィンの悪行には拍車がかかる。むしろ始末が悪くなる一方。悪知恵がついた分、単なるやんちゃを超え、より悪...
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少年は残酷な弓を射る 上

本書は子をもつ親にこそ勧めたい。特に、難しい年齢の子をもつ親に。子作りとはなんと罪作りな行いなのか。子育てとはなんて深淵で取り返しのつかない営みなのか。特に今のような中途半端に人間関係が希薄になり、中途半端に情報が流通している社会では、親が...
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沖で待つ

私は芥川賞の受賞作をよく読む。芥川賞の受賞作は薄めの文春文庫に二話められていることが多い。一話は受賞作で、もう一編は同じぐらいの量の短編というように。ところが本書には三編が収められている。しかも行間はたっぷりとられ、フォントも大き目に。それ...