読ん読く

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八日目の蝉

著者の小説は初めて読んだが、本書からは複雑な読後感を感じた。もちろん、小説自体は面白い。すいすい読める。だが、本書が取り上げる内容は、考えれば考えるほど重い。家族。そして、生まれた環境の重要性。本書のとりあげるテーマは、エンターテインメント...
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島津は屈せず

本書を読んだときと本稿を書く今では、一年と二カ月の期間を挟んでいる。その間に、私にとって島津氏に対する興味の度合いが大きく違った。はじめに本書を読んだとき、私にとっての島津家とは、関ヶ原の戦いで見事な退却戦を遂行したことへの興味が多くを占め...
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ビジュアル年表 台湾統治五十年

はじめ、著者の名前と台湾が全く結びつかなかった。エンターテインメントの小説家として名高い著者が台湾にどのように関係するのか。そのいきさつについては、あとがきで国立台湾歴史博物館前館長の呂理政氏が書いてくださっている。それによると、2013年...
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風刺漫画で読み解く 日本統治下の台湾

家族で台湾旅行に行く前日から本書を読み始めた。読み終えたのは、桃園国際機場へ向かう飛行機の中だ。台湾にはこの旅の半年前にも妻と二人で出かけた。その時は妻も初訪問で、しかも慌ただしい旅だったので、通りをかろうじて歩き回った程度。今回の台湾旅行...
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心のふるさと

今までも何度かブログで触れたが、私は著者に対して一方的な親しみを持っている。それは西宮で育ち、町田で脂の乗った時期を過ごした共通点があるからだ。また、エッセイで見せる著者の力の抜けた人柄は、とかく肩に力の入りがちだった私に貴重な教えをくれた...
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土の中の子供

人はなにから生まれるのか。もちろん、母の胎内からに決まっている。だが、生まれる環境をえらぶことはどの子供にも出来ない。それがどれほど過酷な環境であろうとも。『土の中の子供』の主人公「私」は、凄絶な虐待を受けた幼少期を抱えながら、社会活動を営...
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本の未来はどうなるか 新しい記憶技術の時代へ

本書が発刊されたのは2000年。ようやくインターネットが社会に認知され始めた頃だ。SNSも黎明期を迎えたばかりで、GAFAMがまだAMでしかなかった頃の話。ITが日常に不可欠なものになるとは、ごく一部の人しか思っていなかった時代だ。本書を読...
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新田義貞 下

上巻は、日野俊基が鎌倉幕府によって処刑される場面で幕を閉じる。数度の失敗にもくじけず沸き上がる後醍醐天皇による倒幕の動き。それに対抗する幕府の対応。新田義貞公はその合間に立ち、どちらとも決めかね、事態を静観していた。そんな義貞公に近づいてき...
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新田義貞 上

私の家のすぐ近くを鎌倉街道が通っている。林を抜ける切り通しと井戸の跡がよく残っており、往時の鎌倉街道の姿をしのぶことのできる場所だ。ここを訪れるたびに、鎌倉と地方を往来した武士たちの姿がたやすく思い浮かべられる。そのため、私も折に触れて散歩...
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今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで

新型コロナウィルスの発生は、世界中をパンデミックの渦に巻き込んでいる。だが、人類にとって恐れるべき存在がコロナウィルスだけでないことは、言うまでもない。たとえば自然界には未知のウィルスが無数に潜み、人類に牙を剥く日を待っている。人類が築き上...