JP_Stripes Connect 2025に参加しました

kintone エバンジェリスト

11月23日にTECH HUB YOKOHAMAで行われたJP_Stripes Connect 2025に参加して来ました。

告知ページ


・はじめに


JP_Stripesとは、決済プラットフォームを提供するStripeの日本のコミュニティです。今回初めて参加しました。

3年ほど前、うちの会社で手がけたある案件で、Stripeにはガッツリと関わりました。某宗教法人様の世界中にいる会員からの会費徴収の仕組みをkintoneとWordPress、そして、Stripeとfreeeを組み合わせて実現しました。その際、Stripeの仕様ともがっぷり取り組みました。

ただ、それ以来、Stripeとはご縁がありませんでした。別に避けていたわけではありません。その間にもkintoneと決済サービスと組み合わせる案件はいくつも手掛けました。ですが、お客様が他の決済サービスを採用するケースが続いたため、Stripeを扱う機会がなかったのです。

今回、JP_Stripesの運営メンバーである岡本さんからのDMをいただきました。良い機会なので、初めて参加しました。

ただ、私はStripe関係に知り合いがいません。岡本さんともオンライン上でやりとりしただけで、会うのは今回初めてです。
Stripeエバンジェリストの小島さんとは、各地のCLSでお会いしました。しかし、他の方は誰も知らない状態でした。

未知のコミュニティに出ると得られる効用については、
note
に書いておきました。


・コミュニティで運用を学ぶ意義

さて、ここからはJP_Stripesから得た気づきに触れます。



まず、私にとって印象に残ったのは、コミュニティでは運用が学べることです。
運用を学ぶ。実は、kintoneコミュニティでは当たり前のことです。
なぜなら、kintoneコミュニティにはユーザーの立場で参加される方が多く、そうした方々は普段から日常使いの運用が当たり前です。むしろ当たり前のように運用面の苦労が発表されます。ありふれすぎていて、運用を学んでいると認識することも稀です。

例えば、kintoneではデータさえ本番に近いものを用意できれば、アプリを簡単にテンプレートでコピーできます。なので、運用を想定したテストが容易に行えます。しかもそれらは自社内の運用であり、不特定多数の方が対象ではありません。

ですが、Stripeのような決済サービスの場合、課金や決済にまつわる運用パターンは千差万別です。サービスの質によって、扱う商品によって、扱う決済手段や入金チャネルによって変わります。
仮にリファレンスだけで実装ができたとしても、それだけでは決済サービスの基礎ができただけなのです。そこからようやく運用についてのパターンを踏まえた実装が求められます。
追体験も予測もできないため、様々なパターンをテストすることも困難で、実運用をこなしながら、様々なパターンを学び、習得し、円滑な決済運用が回るように整えていく必要があります。

これは、公開が前提の決済インターフェースとクローズドなデータ取り扱いを主とするkintoneの違いかもしれません。
そうした運用に関する知見の習得は、コミュニティでしか得られない生きた情報です。コミュニティには、様々な決済サービスに携わった方や運用上での苦労を重ねた方もおられるため、様々なケーススタディーが得られます。

kintoneコミュニティでは、上に書いたような理由で、運用のノウハウが当たり前に公表されます。が、他の技術コミュニティ、特に決済を扱うコミュニティにおいては、その知見が重宝されることに改めて気づかされました。



また、小島さんが触れておられた多様なフィードバックとエモーショナルなパワーがもらえるコミュニティの効能は、コミュニティ参加に消極的なすべての技術者に伝えたいです。


・DevOps、RevOpsについて



登壇者セッションのタイトルにRevOpsが2回ほど使われました。実はkintone界隈ではDevOpsも含め、これらの言葉を聞くことがあまりありません。

RevOpsとは、Revenue Operationsのこと。つまり、企業の収益最大化を図るため、各部門を統合した経営戦略を指します。例えば、顧客管理とマーケティング施策、売上や入金状況などの情報を統合した一群のオペレーションです。
特にオンラインサービスを提供する企業の場合、マーケティングから決済画面への誘導、そして決済からサービス開始に至るまでの流れが連動します。そして、それらを総括する必要があります。Stripeは決済サービスとして、その流れの中で重要な位置を占めます。

kintoneは、決済機能を備えていません。外部のサービスに任せる必要があります。基幹処理も別の基幹システムに任せることが多いです。オープンなWebサイトとして公開するような設計にはなっていません。つまり、kintoneの特性上、主要な業務データやサービスを連携し、主要なデータ処理の周辺や隙間を埋める用途に使われることが多いのです。
そのため、RevOpsの言葉は、kintone界隈では使われないのでしょう。

kintoneのデータ容量の制限もあり、全体のデータを俯瞰して見られないことも、kintone界隈でRevOpsが語られない理由かもしれません。

もちろん、サマライズしたデータをkintoneに渡し、ダッシュボード的に使うことはできます。
ただ、私は無理にkintoneを基幹業務に使う必要がないと思います。基幹には基幹の、kintoneにはkintoneの良さがあります。
例えば、人体にはたくさんの血管があります。動脈や静脈をそうした基幹システムに例え、それ以外の毛細血管をkintoneが担うと考えればどうでしょう。
Wikipedia
によると、人体の血管に占める90%から99%は、毛細血管が占めるといいます。
また、
看護roo
によると、
「血管の面積比において、動脈:毛細血管:静脈でおよそ1:700:2。また、全身の血液量の分布は、動脈20%、毛細血管5%、静脈75%である。」
と書かれています。それでいいと思うのです。私はkintoneが主要な血管ではなく、毛細血管の役割を担い、組織の隅々を潤していく未来を想像しています。

Stripeの場合、経営の根幹に関わる入金・決済に直結しています。ですから、このRevOpsの考えが重要なことはよくわかります。
この気づきに至れたことも、JP_Stripes Connect 2025に参加して良かったことです。


・機密データをStripeに任せる


今までに、私は幾つもの決済サービスとkintoneの組み合わせの実装に携わってきました。それらで共通して心掛けてきたのは、クレジットカード番号等の情報は一切kintoneに持たせないことです。
言うまでもなく、kintoneは堅牢です。
ただ、kintoneにそうした機密データを置くことで、うちの会社にもその管理コストがのしかかります。
それは経営体力の観点から避けたい。では、初めから機密情報は別のサービスに任せてしまう。それが私の判断でした。

今回、登壇された皆様からも、そうした知見の共有がありました。Stripeをデータベースとして使い、機密情報も含めて任せてしまう認識は、私の考えの裏付けになりました。


・その他の技術的な気づき





後は技術的な話の気づきに触れます。
まず、StripeのカスタマーポータルのページをJavaScriptでカスタマイズできることは知らなかったです。
また、AI活用もかなり進んでいることは、当然とはいえ、改めて認識を深めました。MCPサーバーではなく、ACP(Agentic Commerce Protocol)サーバーとの考えを知れたのはよかったです。
つまり、これからの決済系の構築には、決済サービスの知見が蓄積され、そこへのアクセスルートが整備されたACPサーバーを利用することで、決済関係の情報をAIと連携しましょう。そうすれば構築がより楽になる。このACPサーバーは、今後使うことになりそうです。
それと、社内用MCPサーバーの活用にも刺激を受けました。うちの会社が長年貯めてきたkintone構築のノウハウを社内限定MCPサーバーを介して取得できるような整備を急ぎます。

今回の参加をきっかけに、次に決済サービスとkintoneの引き合いがあったら(実はすでに来ていますが)、Stripeの提案を進めてみようと思います。


・ご縁が増えました


懇親会も参加できました。当初、参加が締め切られていたことと、会場に現金を持ってきてなかったので参加は諦めていたのですが、セッション間の休憩時間に小島さんと愛媛から来られた沖さんと立ち話していた時、まだ申し込んでないと話したら、早速小島さんに「一名様ご参加〜♬」と加えられました。

実は私、小島さんとはCLS(道東、高知、三島)でしか会ったことがなく、他のイベントでお会いするのは初めてのはず。私が関わっているkintone Caféが、小島さんが立ち上げられたJAWSから影響を受けていることは、前々から聞いていました。

今回、小島さんが他のサービスのコミュニティにどのように関わられているのかを知ったことも、コミュニティをこういう風に回しておられるのだというのが知れたことも、今回の参加の意義だったと思います。

私はこの参加の2日前に会社の代表を譲り、技術や案件対応に専念する立場に就いたばかり。
これからも、Stripe以外のサービスも含め、コミュニティには積極的に参加しようと思います。


DevRel(こちらも最近ご無沙汰)でお世話になっていた川北さんやkintone仲間の沖さんにもお会いできました。

今回ご縁のあった皆様、本当にありがとうございました。

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