読ん読く 嘘をもうひとつだけ 私がまだ読んでいない「加賀恭一郎」シリーズは数冊ある。本書もその一つ。本作は連作短編集だ。五編が収められている。本書の全体に共通しているテーマは女性のうそについて。女性がつくうそにはさまざまな目的がある。その多くは自らの過失や犯した罪を隠す... 2018.08.31 読ん読く
読ん読く ミスター・メルセデス 下 下巻は上巻からの承前で「毒餌」の章で始まる。ホッジズの友人ロビンスンの捜査を妨害しようと、ブレイディはロビンスン家の犬を毒殺しようとくわだてる。ところがその毒餌を、ブレイディの同居する母アンが誤って口にしてしまう。泡を吹いて死んでゆく母。こ... 2018.08.30 読ん読く
読ん読く ミスター・メルセデス 上 著者と言えばモダン・ホラーの帝王。私は著者の作品のほとんどを読んできた。そして私の意見だが、著者はホラーに関わらず現代で最高の作家の一人だと思っている。例えば『IT』は読んでいて本気で鳥肌が立った。映画のような映像のイメージに頼らず、文章だ... 2018.08.27 読ん読く
読ん読く 旅猫リポート 久々に著者の本を読んだ。本書は猫が主役だ。冒頭から「吾輩は猫である」を意識したかのような猫の一人称による語りから始まる。そこで語られるのは、猫の視点による飼い主とのなれ初めだ。猫にとっては自らを養ってくれる主人との出会いであっても、そこに猫... 2018.08.22 読ん読く
読ん読く 硝子の葦 帯のうたい文句にこう書かれている。「爆発不可避、忘却不能の結末ノンストップ・エンタテイメント長編!」さすがにこの文句は盛りすぎだと思う。でも、一気に本書を読めたのは確か。序章で厚岸の街を舞台に起こった爆発事故。そこで亡くなった幸田節子は、な... 2018.08.20 読ん読く
読ん読く しゃべれども しゃべれども 著者の本は初めて読んだが、とても面白かった。本書が面白いのは、読者のほとんどにおなじみの「しゃべり」が扱われているからだろう。しゃべること自体が小説のテーマになっていることはそうない。なぜなら人がしゃべるのは日常で当たり前のことだからだ。話... 2018.08.18 読ん読く
読ん読く DINER 人体。私たちは常に、自らの体がこうあるという身体感覚を持っている。この感覚が狂った場合、私たちが感じるのは気持ち悪さだ。それは自分の体が狂った場合だけではなく、他人の体でも当てはまる。他人の体が人体としてあるべき状態になっていないとき、私た... 2018.08.17 読ん読く
映画を観、思いを致す ミッション:インポッシブル フォールアウト イメージがこれほどまでに変わった俳優も珍しい。トム・クルーズのことだ。ハンサムなアイドルとしての若い頃から今まで早くも30年。今なお第一線にたち、相変わらずのアクションを見せている。しかもスタントなしで。ここまで大物俳優でありながら、芸術的... 2018.08.15 映画を観、思いを致す
読ん読く 人間臨終図鑑Ⅲ そもそもこのシリーズを読み始めたのは、『人間臨終図鑑Ⅰ』のレビューにも書いた通り、武者小路実篤の最晩年に書かれたエッセイに衝撃を受けてだ。享年が若い順に著名人の生涯を追ってきた『人間臨終図鑑』シリーズも、ようやく本書が最終巻。本書になってよ... 2018.08.14 読ん読く
読ん読く 孤児 本書にはヒトの営みが描かれている。「ヒト」と書いたのは、もちろん動物としてのヒトのこと。原初の人類を色濃く残す16世紀の南米インディオたち。南米全域がポルトガルとスペインによって征服され、キリスト教による「教化」が及ぶ前の頃。本書はその頃を... 2018.08.12 読ん読く