2017-03

読ん読く

写実絵画の魅力

本書を読む前の年、2015年の秋に妻とホキ美術館を訪問した。ホキ美術館とは千葉の土気にある写実絵画専門の美術館だ。もともと私は写実絵画に関心を持っていた。そんなところに誘われたのが日向寺監督による映画「魂のリアリズム 画家 野田弘志」。私の...
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囲碁の源流を訪ねて

2016年前半を彩るニュースの一つに、コンピューターが現役囲碁チャンピオンを破る出来事があった。人工知能が到達した一つの節目として後世に伝えられるに違いない。そんなニュースもあり、私も教養の一つとして囲碁の歴史を学んで見ようと志したのが本書...
読ん読く

真田幸村のすべて

本書を読んだ時、NHK大河ドラマ真田丸によって真田幸村の関心は世間に満ちていた。もちろんわたしの関心も。そんな折、本書を目にし手に取った。編者は長野県史編纂委員などを務めた歴史学の専門家。真田氏関連の著書も出しており、真田家の研究家としては...
映画を観、思いを致す

SING シング

吹き替え版を映画館で観ることは滅多にないけれど、本作は家族の意向もあって吹き替え版で観た。それもあってか、劇場内は小さい子供達で沢山。予告編を観た感じでは子供向けの内容だろうなと思っていたけれど、私の予想以上に子供が多かった。潰れかけた劇場...
読ん読く

祈りの幕が下りる時

著者の、いや、日本の推理小説史上で私が一番好きな探偵役は?と問われれば、私は加賀恭一郎を推す。怜俐な頭脳、端正なマスク、器の広さ。理由はいくつか思い付く。私がもっとも惹かれるのは彼の情を弁えたところだろうか。人間という存在の営み全てに対し、...
読ん読く

後藤さんのこと

実験的といおうか、前衛的といおうか。著者の作品は唯一無二の立場を確立している。あまたの小説群が山々を成す中、孤峰として独立しているのが著者とその作品群だ。冒頭の表題作からして、すでに独自世界が惜しげもなく披露される。森羅万象、古今東西に宿る...
読ん読く

秀頼脱出

唐突ながら、出版社には格があると思う。格が何かを表現するに、新聞を例にあげると良いだろう。例えばガセネタといえば東スポ、大スポであり、信頼できる新聞といえば日本経済新聞というように。もっともこの例も最近は怪しくなりつつあるけれど。要するに情...
物申す

この六年を契機にSNSの過去投稿について思ったこと

今日で東日本大震災が発生して六年が経ちました。テレビやブログでも六年の日々が取り上げられているようですね。今日の14:46を私は家で仕事しながら迎えました。六年前のその瞬間も同じ。あの時も家で仕事していました。違う事といえば、今日は直前に町...
読ん読く

流れ星と遊んだ頃

著者の自在に変幻する叙述の技は、大勢いる推理作家のなかでも最高峰といってもよい存在だと思う。くだけた口調の独り語りでスタートする本書。だが、その語りこそが曲者だ。それぞれの章ごとに鮮やかに視点が入れ替わってゆく。誰の視点で語られているのか常...
読ん読く

誘拐

誘拐ものには印象的な作品が多い。こうやって書いている今も私の脳裏には何冊か浮かんでくる。それらはいずれも秀作だ。そして本書もまたその系譜に連なる一作である。なにせ本書は題名からしてストレートに”誘拐”なのだから。誘拐ものは私の読書経験ではハ...