2011-10

読ん読く

水の奇跡を呼んだ男―日本初の環境型ダムを台湾につくった鳥居信平

以前から論議かまびすしい、日本とアジア諸国の関係。私は今から16年前('95年)に自転車で台湾を一周したことがあり、その時に地元の方々(特に年配の)から受けた恩義が忘れられず、戦前の日本が悪業の限りを尽くしたとはとても思えない人です。最近、...
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乳と卵

著者の本は初めて読んだ。芥川賞受賞作。かなり饒舌な関西弁のセリフが縦横に飛び交い、それとは対極的にしゃべらない娘の日記調の独白がバランスを取っている。帯に山田詠美氏が饒舌なようでいて無駄がないセリフというようにおっしゃっていたけれど、そうか...
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のぼうの城

何か月か前に雑誌歴史人で忍城の攻防戦が取り上げられていた際に、著者のインタビューも掲載されていて興味を持っていた本。この本は面白い。歴史小説はそれほど読みつくすようにして読んでいないけれど、隆慶一郎氏の作を初めて読んだときのようなすぐれた娯...
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だれが信長を殺したのか

この夏に石田三成公の史跡を追って関ヶ原に行った際、島津義弘公の陣跡に行ったのをきっかけに読んだのがこちらこの著者の視点の切り口に興味を持ち、もう一冊借りてみたのがこちらの著書。新たな視点とあるけれども、私にとっては既に既出の論点でした。夏草...
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Pの密室

読者の期待に応えようとすればするほど、内容、トリックそしてそれに比例して名探偵の資質がずば抜けて上がっていかなくてはならないのが推理小説。その無茶ともいえる読者の要求に応えようとする氏の作品、私は昔から読んでいて好きです。けれどさすがに要求...
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初恋

こちらの著者、プロフィール非公開というのが非常に興味を惹かれる。なぜかというとこれは著者の半自伝的な3億円事件に関わる実行犯と計画犯の物語だから。簡明な文体で難解な内部事情をこまごまと描くわけでもなく、ただたんたんとあの事件の一日を描写して...
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俺の考え

著者が一番油の乗っていた時期のエッセイ集。自ら下品という飾らない口調で述べる意見の数々は、学問などそっちのけでとにかく現場で叩き上げた職人的な思いがこもっている。信頼と金銭を比較する論点がいくつか出てくるが、かならず信頼を優先させろという結...
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重力ピエロ

著者の小説の登場人物は、とかく魅力的に思える。世の中に迎合も白けもしない替わり、エピソードの隙間から色んな教訓を引っ張り出してくる。遺伝子を扱う本書では、生を司る相手だからか死生観について機転の効いた言動が次々飛び出してくるのが印象的。'1...